14.合併症・脳
3大合併症はよく知られていますが、糖尿病が悪化してくると様々な合併症が出てきます。
そこで今回は脳を取り上げてみたいと思います。脳の合併症には動脈硬化、脳梗塞、脳出血、糖尿病性昏睡などがありますが、多いのが脳卒中で糖尿病による発症リスクは、その他を含めた平均と比べると男性で1.64倍、女性で2.19倍、中でも 脳梗塞は男性で2.22倍、女性で3.63倍という調査結果が出ています。
(脳卒中は脳出血と脳梗塞を合わせた呼称です)
なぜ糖尿病になるとなぜ脳梗塞や脳出血が増えるのでしょうか?
理由は高血糖です。 高血糖になると血液がベタつき大動脈・中動脈・細動脈・毛細血管の全てで血液が流れにくくなります。
流れにくい状態が続くと血管にかかる圧力が強くなり細い動脈だけでなく太い動脈にもダメージがあります。
そのダメージの1つが全平均の2~4倍もある糖尿病による脳梗塞です。
その原因は、動脈血管内壁が瘤上に膨らむ「アテローム」です。このアテロームが動脈血管壁に大小さまざまな大きさ多数できるのですが、そのうちの一つが大きくなり血管壁を塞いでしまったのが下図のような脳梗塞です。
脳梗塞には図のように3種類があります。
1.ラクナ梗塞
細動脈(0.5㎜以下)に血栓が詰まって起こる梗塞で、起こった時にほとんど自覚症状はありませんが多くなると記憶力の低下や運動障害などに繋がります。
①ボロボロ血管
加齢や喫煙、過度のストレスやアルコール、生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)により傷つきやすくなり、破れたり壁から浮き上がったりしてボロボロ状態となった血管。
②ドロドロ血液
熱中症などの脱水状態で血液は濃縮されたり、脂質異常症や高血糖で血栓ができやすくなった血液。
③ ノロノロ血流
エコノミークラス症候群や、長時間のデスクワークや乗り物移動、さらに被災地での車中泊などでは両足の静脈の血流は滞り、などでノロノロ状態の血流。
などで発生しやすくなります。
弊害としては、血栓で詰まった血管から栄養や酸素を受け取っていた細胞が弱ったり死んだりして脳が正常に働くことが出来なくなることです。
2.アテローム血栓性脳梗塞
太い血管に起こる梗塞で、動脈の内壁が傷つきその傷口からコレステロールが入り込み、それを活性酸素が酸化し、免疫細胞のマクロファージが腹一杯食べ身動きできなくなりその死骸が積み重なって瘤のように膨らみ血管を塞いだのが、この梗塞です。
3.心原性脳塞栓症
心房細動など心臓の病気で大きな血栓ができたとき、大きなアテロームのところで流れなくなり血管を塞いだ時に起こる脳梗塞です。
脳梗塞と糖尿病との関係では、血管を傷付きやすくする高血糖が強く関係しているので、血糖値を正常に保つことが大切です。
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最良の手段は糖尿病と決別することです。
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